そう思われがちだけど本来の意味は違うぜ。
今まで誰も成し得なかったことを成し遂げた人のことを言うんだ。
破天荒な性格とは、今まで誰も成し得なかったことを成し遂げた人のこと。
ですので、厳密に言うとYさんは破天荒ではない!ということになりますね。ある意味、破天荒なのかもしれませんが…笑
現代の「破天荒」は、「破」「荒」という漢字からネガティブな意味で浸透しており、本来の意味と異なる使い方をされがちです。
本文では、「破天荒」の意味や使い方をご紹介しながら、「破天荒な性格」について解説します。
日本の7割以上が誤用している「破天荒」、ぜひこの機会正しい知識を身につけましょう。
破天荒の本当の意味はポジティブな褒め言葉
「破天荒」とは、今まで誰も成し得なかったことを成し遂げること。
ですが、TVなどのメディアでは「破天荒芸人」や「破天荒キャラ」などと表現し違う意味で使っている場合がほとんどです。
そのため「破天荒」=「豪快」「大胆」「型破り」など、間違ったまま覚えている方も多いでしょう。
もしくは「破」「荒」という漢字を使っていることから、ネガティブな意味を抱いてる方も少なくないはず。
ですが、本来の意味は非常にポジティブ!誰もなし得なかったことを成し得るわけですからスゴイことですよね!まさに偉業です。
いいとこに気づいたね!実は「破天荒」の由来に関係しているのさ。
破天荒の由来が分かれば意味も納得
破天荒は、中国・宗時代の説話集「北夢瑣言」の故事に由来しています。
中国の唐時代、王朝成立から100年以上経っても荊州(現・湖北省)からは、科挙の合格者が出ませんでした。
科挙ってなんですか?
高級官僚を登用するための試験制度のことさ。
中国で極めて難易度の高い試験なんだぜ。
長年合格者がでない荊州は、「誰も通ることができない」「未開の荒地」を意味する「天荒」と呼ばれていました。
ですが、ついに、劉蛻という人物が荊州から初めて合格したのです!
そして人々は、彼は誰も成し得なかった「天荒を破った」と言い、このように「天荒を破った」=「破天荒」となりました。
破天荒な性格とは前例のない偉業を成し遂げた人
「破天荒」の意味が分かれば、「破天荒な性格」もイメージしやすいのではないでしょうか。
TVやメディアで言われている「豪快」「大胆」「型破り」などのような性格ではありません。
本来の意味での「破天荒な性格」は、誰もなし得なかった、前例のない偉業を成し遂げた人のことです。
例えるならば、2012年ノーベル医学・生理学賞を受賞した山中教授のiPS細胞の開発が分かりやすいですね。
どのようなジャンルでも、誰もなし得なかったことを成し遂げることはスゴイこと!だからこそ「破天荒な性格」は褒めことばになるのです。
某お笑い芸人のYさんの仕事も前例のない偉業かもしれないぜ!
だから、本当の意味でも破天荒な性格なのかもな 笑
破天荒の類義語もポジティブ
「破天荒」の類義語は以下です。
類義語 | 意味 |
前代未聞 | 今まで一度も聞いたことがないこと |
前人未到 | これまで誰も到達した人がいないこと |
未曾有 | いまだかつてなかったこと |
やはり、誰もなし得ていないことがベースになっていますね!
類義語だから当然なのですが…笑
破天荒の使い方と例文をマスターし誤用を回避
「破天荒」の意味さえわかれば使い方は簡単ですが、注意すべきことは誤用!
TVやメディアの使い方は大半が間違っていますので、同じような使い方はNGです。
「大胆」「豪快」「型破り」のような人を表すときに使うのは誤用になりますので、特に注意しましょう。
本来の意味は、今まで誰も成し得なかったことを成し遂げること!
これを踏まえ、いくつか例文をご紹介しますので参考にして見てくださいね。
破天荒は日本の7割以上が誤用してる
「破天荒」の本当の意味は今まで誰も成し得なかったことを成し遂げること。
日本トレンドリサーチ(運営会社:株式会社NEXER)が2021年9月に、「破天荒」の正しい意味についてのアンケートを実施しました。
結果は…
- 「破天荒」を正しい意味で使っている:19.3%
- 「型破り、大胆、豪快」だと認識している:77.6%
なんと、大半の方が本来の意味とは異なる認識をされていました。ですが、実はこのような日本語はたくさん存在するのです。
時代の変化に伴い、ことばの意味も変化してきているのかもしれませんね。
本来の意味を知りつつ、時代の流れにも耳を傾けていればどちらにも対応できること間違いなし!ですね。
油断はミスを呼び込みます。たった一度の油断で人生を棒に振らないよう、この機会に「油断」を排除しましょう!
「油断」の意味は気を許すこと
「油断」の意味は、気を許して注意を怠ること・隙をみせること。
注意喚起の意味で使う場合がほとんどです。
ではなぜ、「気を許すこと」という意味の言葉が「油を断つ」という漢字を使うのでしょうか。
それは、語源に関係があるのです。
それでは次の章で紐解いていきましょう!
「油断」の語源は3説!油にまつわるものが多い
油断の語源は3説あるとされています。
それぞれ解説していきます。
① 仏教の経典「涅槃経(ねはんぎょう)」
涅槃経とは、簡単にいうとブッダの遺言集。
死に直面したブッダが、自らの得た数々の教えを記述した経典として信仰されています。
そして、この涅槃経の中に「油断」の語源となるエピソードが語られているのです。
それは、「油をこぼすと命を断つ」というお話。それでは、このエピソードになったお話を紹介していきます。
ある王様の無謀な命令が「油断」の始まり
その昔インドの乱暴な王様が、臣下に油を一杯に注いだ鉢を持たせ、人通りのの多い道を歩かせました。
「もし鉢を傾けて一滴でも油をこぼしたら、お前の命を断つぞ」と命令をし、その後ろに刀を抜いた家臣を立たせて監視をさせます。
そして臣下は、周囲に目もくれず、王の命令を全うしたというお話です。
油は少しでも「傾ける」とこぼれてしまいますよね。
だからこそ、「油をこぼしたら命を断たれてしまう」というくらいの真剣さで修行しなさいという教えなのです。
日常生活でも、怠けたり、おこたったりせず油断しないように過ごしなさいということですね。
また、このお話には「怠るな」と同時に「中道」という教えも含まれていますので、次の章で解説します。
「傾ける」にも意味がある
「鉢を傾けたら油がこぼれる」の「傾ける」に意味があるのです。
油をこぼさないためには、どちらか一方に極端に傾けるのではなく、真ん中の状態を保つことが大切ですよね。
この真ん中の状態を保つことを「中道」と言い、ブッダは「油断」のお話で「中道」を生きなさいということを伝えたかったのです。
王族生まれのブッダは29歳の時に出家し、6年間厳しい修行に取り組みましたが、何の教えにもたどり着けず苦行を終了。
そして、王宮と苦行の両極端な生活を振り返り、「楽」でも「苦」でもない「中道」という考えに行き着きました。
つまり、極端な生き方に固執して、行動や思考が傾かないよう人間としてのバランスを欠いてはいけないということですね。
② 比叡山延暦寺の「不滅の法灯(ほうとう)」
不滅の法灯とは、比叡山延暦寺の根本中堂の中に1200年間一度も消えることなく灯され続けている明かりのこと。
約1200年前、比叡山延暦寺を創健された天台宗の開祖・最澄が、比叡山の山中に根本中堂を建立し、自らが薬師如来ご本尊をお彫りになりました。
そして、明るい豊かな人生と世界平和を願いご本尊の前に点灯され、以来1200年の間、一度も消えることなく灯され続けています。
では、なぜ不滅の法灯が「油断」の語源となるのでしょうか。詳しく解説していきます。
灯火を絶やしてはいけない緊張感
不滅の法灯の灯火を絶やさないためには、毎日「油」を注ぎ足さなければなりません。
油を注ぎ足すことに「慣れ」てしまうと、その作業は日常生活に溶け込んでしまい、気の緩みが生じます。
この気の緩みが「油断」。
毎日欠かさず注ぎ足さなくてはいけないという緊張感を忘れずに、気を引き締めて行うことを意味しているのでしょう。
また、油を注ぎ足す当番は決まっていません。それは、お堂番を決めることで他人事になってしまうからです。
だからこそルールは作らず、灯りの存在を気にかけ、気づいた人がその都度油を注ぐことで守り続けているのです。
油が切れたら灯火は消えてしまいます。決して油を絶やさないことから「油断」という言葉が生まれたということですね。
③ 古語「ゆた・に」が転じた
最後は、「ゆったり」「のんびり」 という意味の古語「寛(ゆた)に」が音変化したとする説。
万葉集では、「ゆたにゆたに(悠々と漂い動くさま)」という表現で使われており、この状況が「注意を怠る」と言う意味に変化したとされています。
また、「ゆた=のんびり」と言う言葉は、今も四国の土佐地方の方言に残っています。
お客様に、「ごゆっくりしてください」の意味で「ごゆだんなさりませ」などと言うそうですよ。
「油断」のことわざと言えば「油断大敵」!
「油断」でよく使うことわざと言えば「油断」+「大敵」の「油断大敵」ですよね!
意味は次の通りです。
油断 | 大敵 | 油断大敵 |
---|---|---|
注意を怠ること | 強く手強い敵 | 注意を怠ると思わぬ失敗をまねく |
つまり、「油断は失敗の原因につながるので、手強い敵だと思って警戒せよ!」と言う戒めの言葉という意味です。
では、どのような使い方があるのか例文を簡単にご紹介します。
「油断大敵」の使い方例文
「注意力散漫」や「気の緩み」など、日常的に慣れていることや物事が順調に進んでいる時に、油断してしまうと失敗につながりやすいですね。
このような状況になった時は、戒めの言葉として「油断大敵」を使いましょう!
「油断」の類義語は言い換えできない
「油断」の類義語と意味を次の通りです。
類義語 | 意味 |
---|---|
不注意 | 注意が足りないこと |
うわの空 | 他の事に心が奪われて、そのことに注意が向かないこと |
手抜かり | 不注意のため、しなければならないことを十分にしないこと |
これらは類義語でありますが、使い方が異なりますので「油断」の言い換えはできません。注意しましょう。
一瞬の「油断」が命取り!だからこそ油断大敵!
「油断」はいつどこで起こるか分かりません。
続けるべき注意や集中が途切れたり、一瞬の隙を見せることで人生が大きく変わってしまうこともあります。
日常の些細な日課も油断大敵!この機会に肝に命じましょう!
最後に「油断」の意味をまとめます。
「油断」意味 |
---|
気を許して注意を怠ること 隙をみせること |
意味 | 使い方 | |
---|---|---|
及び | ~と、そして =and | 同じ種類 レベル |
並びに | ~と、そして =and | 異なる種類 レベル |
本文では、「及び」「並びに」の意味と違い、使い方を詳しく解説しています
「及び」と「並びに」の意味は「and」
「及び」と「並びに」は、どちらも複数の物事をつなげる時に使う接続詞で、「~と」「そして」つまり、「and」という意味です。
前の語に付け足す、前後の語を繋げる役割をはたすのが「及び」と「並びに」です。
これらは、同じ意味ですが使い方は「日常用語」「法令用語」の2パターンあり、ルールも異なります。
まずは、それぞれの使い方の違いをみていきましょう!
「及び」と「並びに」違いは並列する物事の種類とレベル
「及び」と「並びに」には次のような違いがあります。
- 及び…複数の物事をつなげる時に用いる語
- 並びに…前後2つの物事をつなげる時に用いる語
この違いは、日常用語・法令用語ともに変わりませんので、しっかり覚えておきましょう!
次に「及び」と「並びに」の使い方を解説します。
「及び」と「並びに」の使い方!
「及び」と「並びに」の使い方は、並列する物事の種類とレベルによって異なります。
- 及び…複数の物事をつなげる時に用いる語
- 並びに…前後2つの物事をつなげる時に用いる語
それぞれ解説していきます。
①「及び」の使い方は複数の同じ種類・レベルの物事をつなぐ
「及び」の使い方は同じ種類・レベルのものを付け足したりくっつけたりする時に使います。
同じ種類・レベルとは、「野菜+野菜」「人+人」など。
このように、前後の語が同じ種類・レベルのものをつなぐ時に使うのが「及び」です。
3つ以上の言葉をつなぐ場合は「、」でつなぎ、最後の語の前に「及び」を使いましょう。
🆗→リンゴ、ミカン、スイカ及びブドウ
🆖→リンゴ及びミカン、スイカ、ブドウ
②「並びに」の使い方は異なる種類・レベルのものをつなぐ
「並びに」の使い方は異なる種類・レベルのものを付け足したりくっつけたりする時に使います。
異なる種類・レベルとは、「野菜+果物」「クラス+クラス」など。
このように、前後の語が違う種類・レベルのものをつなぐ時に使うのが「並びに」です。
「及び」と「並びに」は法令用語としても用いる
「及び」「並びに」を法令用語として用いる場合のルールはひとつ!
一つの文章に「及び」を使っていない場合「並びに」は使えない!
です。
つまり、「及び」と「並びに」は併用することが基本。
🆗→A及びB並びにC
🆖→A並びにB
日常会話の場合は、「A並びにB」という使い方は問題ありませんが、法律においてはNG!
それでは、「及び」と「並びに」を併用する使い方を解説していきます。
「及び」と「並びに」を併用する使い方はグループで分ける!
「及び」と「並びに」を使う際は、グループ分けをして考えると分かりやすいです。
1番小さいグループを第1段階、2番目を第2段階…のように考えていきます。
今回は、ピーマン、なす、リンゴ、おにぎりを使ってみていきましょう!
第1段階|野菜グループ(1番小さな塊)
第1段階では、同じ種類・レベルのものを繋げる「及び」のみを使います。 「
ピーマン」及び「なす」となり、こちらを野菜グループと区分します。
そして、この第1段階グループの「及び」が小さな塊と覚えておきましょう!
第2段階|野菜グループ+果物グループ(大きい塊)
第2段階では、第1段階と異なる種類・レベル、つまり一番最初のグループとは異なるものをつないできます。
異なる語ですので、「及び」ではなく「並びに」を使用していきますよ。
「ピーマン」及び「なす」並びに「リンゴ」となり、 こちらは野菜グループ+果物グループ=生鮮食品グループと区分します。
「並びに」は大きい塊と理解しておきましょう!
第3段階|生鮮食品グループ+加工食品グループ
第3段階も、今までと同じように先に出てきたグループとは異なる種類・レベルのものをつないでいきます。
こちらも異なる語ですので、「並びに」を使っていきます。
「ピーマン」及び「なす」並びに「リンゴ」並びに「おにぎり」となり、全てをまとめて加工食品グループと区分しましょう。
第3段階以降は、つなぐ語が3つ以上になります。
ここからは、1番はじめの2語をつなぐ時にだけ「及び」を使い、それ以降は「並びに」を使ってつないでいきましょう!
「及び」「並びに」の対義語は「もししくは」「または」
「及び」「並びに」の対義語も、法令用語で使用する「もしくは」「または」です。
こちらの対義語は、前後の語の一方しかさしませんので、「及び」「並びに」との言い換えはできません。
意味 | 塊 | 使い方 | |
---|---|---|---|
及び | and | 小さい | 単独OK |
並びに | and | 大きい | 「及び」と併用 |
もしくは | or | 小さい | 「または」と併用 |
または | or | 大きい | 単独OK |
使い方としては、「AもしくはB」や「AもしくはBまたはC」ですが、法令用語で使う際は、「もしくは」は「または」と併用することがルールです。
「マカロン・ケーキ、だんご、まんじゅう」はお菓子という大きな塊ですね。
つまり、「お菓子」の中で「洋菓子」と「和菓子」の小さい塊に区分し、「または」でつないでいくということです。
「及び」と「並びに」はTPOに合わせて使い分けよう!
法令用語として使う際は、厳密なルールがありますが、日常会話ではそんなルールは気にしなくて大丈夫!
意味さえしっかり理解していれば、間違った日本語にはなりませんので安心して使いましょう。
最後に「及び」と「並びに」の意味と使い方をまとめます。
及び | 並びに | |
---|---|---|
意味 | ~と、そして=and | ~と、そして=and |
使い方 | 同じ種類・レベル | 異なる種類・レベル |
「辻褄」の意味とは物事の筋道が通っていること!
「辻褄」の意味とは、合うべきところがきちんと合う物事の道理、一貫した物事の筋道ということ。
「辻褄が合う」「辻褄が合わない」という慣用句で使う場合が多い言葉ですね。
それぞれの言葉で使う場合は、次のような意味となります。
- 辻褄が合う: 物事の道理が合うこと
- 辻褄が合わない:ちぐはぐなこと
「辻」と「褄」は、いずれも着物にまつわる言葉で、裁縫用語としても使われています。
では一体、どのようなルーツで「辻褄」の意味が裁縫用語からくるようになったのでしょうか。
早速次の章で語源を紐解いていきましょう!
「辻褄」の語源は着物と裁縫用語に関係している
「辻褄」とは「辻」と「褄」を合わせた言葉。
「辻」は道路が十字に交わる十字路のことで、裁縫用語では縫い目が十文字に合うところを意味しています。
「褄」は着物の裾の左右の両端のこと。裾の左右が合うということはきちんと縫われているということをさしています。
どちらも、ピシッと縫い目が合っていないとチグハグな着物になってしまうことから、物事の道理や筋道が一貫していることを「辻褄」というようになりました。
逆に、合うべきところがきちっと合わないことを「辻褄が合わない」と言うようになったとされています。
「辻褄」の使い方例文は3パターン!
「辻褄」は慣用句として使う場合が多いです。
今回は、3パターンの慣用句を使った例文で、使い方を解説しています。
それぞれの例文で使い方をみていきましょう。
例文①「辻褄が合う」
一貫した物事の筋道という意味ですので、きちんと納得のできる場面で使いましょう。
- 取引先と話の辻褄が合うので、この案件は安心してお任せできる
- この物語は、伏線を回収すると全ての辻褄が合うようにできている
- 彼の説明は辻褄が合っていて疑いようがない
例文②「辻褄が合わない」
チグハグな話のように、話の筋道や前後関係が正しくない場合に使いましょう。
- 全ての要素をまとめると、その説明では辻褄が合わない
- 彼の話は全く辻褄が合っていない
- 禁酒しているはずなのに体からお酒の匂いがする、これでは辻褄が合っていない
例文③「辻褄を合わせる」
話の筋道が通るように、もっともらしく話を合わせる時などに使いましょう。
- 辻褄を合わせてから報告しないと上司が納得しない
- 「昨夜は一緒にいた」と辻褄を合わせるのに一役買った
- この場を収めるためには、辻褄を合わせるしかない
「辻褄」の類義語も道理や筋道が一貫している
「辻褄」の類義語は、意味もほぼ同じで道理や筋道が一貫している言葉が多いです。
今回は、言い換えが簡単でよく使われる類義語をご紹介します。
類義語 | 意味 |
---|---|
平仄 | 物事の順序や道理・筋道 |
道理 | 物事の正しい筋道 |
筋道 | 物事の順序 |
一貫性 | 初めから終わりまで矛盾がない・筋が通っていること |
帳尻 | 物事の辻褄を合わせること |
「辻褄」と簡単に言い換えができますのでケースバイケースで使ってみましょう!
「辻褄」の対義語は物事に一貫性がない
「辻褄」の対義語は、物事に一貫性がない、つまり「辻褄が合わない」ことですね。
対義語 | 意味 |
---|---|
矛盾 | 物事の道理や筋道が合わないこと、辻褄が合わないこと |
分かりやすい例は以下です。
「話の辻褄が合わない」 ➡︎ 「話が矛盾している」
「辻褄」の漢字は意味が分かると間違えない!
「辻褄」は「辻」と「褄」を合わせた言葉で、着物と裁縫用語が語源でしたね。
そして「褄」の漢字には衣編が使われており、この漢字にも着物が関係しています。
意味や語源を覚えておけば、「妻」「棲」「悽」などの漢字と間違えることもありませんので安心ですね!
最後に「辻褄」の意味と語源をまとめます。
辻褄 | |
---|---|
意味 | 物事の道筋が通っていること |
語源 | 「辻」:着物の縫い目が十字になっている部分のこと 「褄」:着物の裾の左右の両端のこと |
博士!
友達に「皮肉を言わないで」と言われたのですが…不快にしてしまったのでしょうか?
「皮肉」には4つの意味があるのじゃ。
恐らく今回は、「遠回しに相手を非難すること」として捉えられたんじゃな。
「皮肉」の意味は4つ!
「皮」と「肉」から成る「皮肉」。
この「皮肉」には、文字通りの意味も含め4つあります。
①文字通りの意味「皮と肉」
「皮肉」の意味は文字通り「皮」と「肉」のことですが、転じて「からだ」の意味としても用いられるようになりました。
ズバリ「皮と肉」そのものを意味していますが、日本では、こちらの意味で使われることは少なく、③や④の場合が多いです。
これは、由来に関係していますので、後ほど解説していきます。
②骨や髄まで達していないうわべ・表面
「皮肉」は「骨髄(本質)」まで達していないことから、「上部」「表面」という意味もあります。
また、「皮肉」は「骨髄」に比べ表面に近いことから、理解や解釈の度合いが浅いという意味にも用いられるようになりました。
これが転じて「あてこすり」「いやみ」などの意味もさすようになったとされています。
③遠回しに相手を非難すること
「皮肉」とは、相手を遠回しに意地悪く非難すること。
欠点や弱点など相手が気にしていることを、わざと反対のことを言ったりして、褒めるようにけなす言い方をするということですね。
「皮肉」は「褒める」と「けなす」という二重の表現を使った高度な技。せっかくの高度な技を曲がった目的のために使うのは残念です。
④期待に反して残念な結果になること
「皮肉」とは、予想や期待に反してうまくいかないこと。
「皮肉にも〜」という使い方が、一番分かりやすいのではないでしょうか。
- 自分の思い通りにいっていると思っていた人
- 自分では思い通りにいっているつもりだと思っていた人
など、結果的に思い通りにならない結末となってしまった場合をあらわすときに使います。
「皮肉」の由来は「皮肉骨髄(ひにくこつずい)」
皮肉は、禅を中国に伝えた人物として名高い達磨大師(だるまだいし)の「皮肉骨髄」という逸話が由来です。
それは、達磨が4人の弟子たちに仏教の本質・禅の要旨を質問し、それぞれに「皮」「肉」「骨」「髄」で評価したという話。
1人目「道副」 | 我が皮を得たり |
2人目「尼総持」 | 我が肉を得たり |
3人目「道育」 | 我が骨を得たり |
4人目「慧可」 | 我が髄を得たり |
結果的に「髄」を得た4人目が達磨の後継者となり、「皮」「肉」「骨」「髄」の順でより深い理解を得たと考えられています。
つまり、「皮肉」とは達磨が弟子の修行を評価する際、皮肉と骨髄を分けて考えた時の言葉。
骨髄は「要点」のたとえで「本質的な理解」を、皮肉は「表面」にあることから「本質を理解していない」を意味します。
そこから、「皮肉」は遠回しに非難するという意味で使われるようになりました。
意味によって変わる「皮肉」の使い方を例文で解説
「皮肉」には4つの意味がありましたが、主に使うのは③と④でしたよね。
今回は、③と④の意味を使った例文をご紹介します。
③遠回しに相手を非難すること
相手を非難するために、遠回しに意地悪をいう場合、大きく分けて2つのパターンがあります。
- 皮肉を言う・込める
- 皮肉な〇〇
それぞれの例文をご紹介します。
①皮肉を言う・皮肉を込める
【例文】
- 頭の回転が早いんだね、そんなにすぐに皮肉を言えるなんて
- 上司に「達筆すぎて、なんて書いてあるか読めない」と皮肉を言われた
- 皮肉を込めて「結婚おめでとう!旦那さんイケメンだから浮気が心配ね」と言われた
- 「この案件、同期の〇〇さんはできたけど、あなたにはまだ早かったみたいね」と皮肉を言われた
②皮肉な〇〇
【例文】
- 隣のご婦人に皮肉なお世辞を言われた
- ジョンレノンは皮肉な名言を残している
「安い席の人は拍手を、高い席の人は宝石をジャラジャラ鳴らして下さい」 - 人生は皮肉なものだ
- 私は皮肉な運命に翻弄されている
④期待に反した結果
期待していた結果とは違う結果になった場合は、「皮肉にも〇〇」が一番使いやすいですが、「皮肉な〇〇」という使い方もできます。
こちらも2パターンで覚えておくと良いでしょう。
- 皮肉にも〇〇
- 皮肉な〇〇
それぞれの例文はこちらです。
①皮肉にも〇〇
【例文】
- 一夜ずけでテストに挑んだが、皮肉にも山が外れて赤点だ
- 誰よりも早く新作バッグを見つけたはずなのに、皮肉にも後輩がすでに使っていた
- やっと彼と結婚できたが、皮肉にも私には結婚生活が向いていなかった
②皮肉な〇〇
- 皮肉なもので、今日に限って天気予報が大当たりでどしゃ降りだ
- 皮肉なもので、彼とうまくいっている時ほどモテる
- 大ゲンカして別れた彼とマッチングアプリで再会、皮肉なめぐりあわせにビックリ
「皮肉」の類義語も相手を不快にさせる
「皮肉」の類義語も意味によって変わります。この場合も、主に使われている③と④の類義語をご紹介していきます。
③遠回しに相手を非難すること
④期待に反して残念な結果になること
それぞれ解説していきます。
③遠回しに相手を非難すること
類義語 | 意味 |
---|---|
①風刺 | 社会や人物の欠点・ 罪悪を遠回しに批判すること |
②嫌味 | 他人に不快感を与える言動のこと |
それぞれみていきましょう。
①風刺
風刺と皮肉は、どちらも遠回しに批判することですが、向けられる対象が異なります。
- 風刺:社会や有名人など
- 皮肉:個人や物、自分
そのため、「皮肉」と入れ替えて使うことはできませんのでご注意ください。
②嫌味
皮肉と嫌味は、どちらも不快感を与えことですが、ニュアンスが異なります。
- 皮肉:遠まわしに不快感を与えること
- 嫌味:ストレートに不快感を与えること
「嫌味」≠「皮肉」ですので、「風刺」と同様入れ替えて使うことはできません。
④期待に反して残念な結果になること
類義語 | 意味 |
---|---|
イロニー・アイロニー(英: irony, 独: Ironie) | 皮肉・反語 |
- 皮肉:遠回しに批判すること
- 反語:反語は思っていることと反対のことを言って表現すること
「皮肉」を使いこなす人は賢い!
褒めながらけなすという高度な技で、他人を非難する皮肉者。多い人は日に数回、皮肉を言っているのではないでしょうか。
「皮肉」をいう場合、いちど相手を褒めてから突き落とすという高度な技が必要なので、きっと賢い人なのだと思います。
そして、この皮肉の反論しようものなら、最初に褒めたことだけに焦点を当てて非難したことにはスルー。
なんとも賢いのが皮肉者なのです。せっかくの賢さを、別の形で使えるといいのですが…なかなか難しいのかもしれませんね!
それでは最後に「皮肉」の意味をまとめます。
「皮肉」4つの意味 |
---|
①皮と肉 |
②うわべ・表面 |
③遠回しに相手を非難すること |
④期待に反して残念な結果になること |
博士!
小説にでてきた「もどかしい」が分からないので、意味を教えてください。
「もどかしい」とは、じれったい・歯がゆいという意味じゃ。
じゃが、その原因となる感情は3パターンもあるのじゃよ。
恋愛や仕事など、物事が思うようにならずイライラしたり、気持ちがうまく伝えられず歯がゆい経験をしたこと、ありませんか。
これらの感情が「もどかしい」です。そして、その原因となる感情は3パターン!
本文では、3パターンの感情を詳しく解説しています。
日常のさまざまな場面で「もどかしい」を使いこなせたあなたは、物知り博士の仲間入り決定です!
「もどかしい」の意味はじれったい!
「もどかしい」の意味は、思うようにならず、じれったい・歯がゆい・心が苛立つこと。
仕事や恋愛など、日常的に「もどかしい」出来事は起こりますよね。
実は、この「もどかしい」気持ちになるには、原因となる3パターンの感情があるのです。
一体どのような場面で「もどかしい」を使うのか、次の章では3パターンの感情の例文を使って解説していきたいと思います。
「もどかしい」の感情は3パターン!
「もどかしい」の原因には3パターンの感情があります。
例文と合わせて分かりやすく解説していきます。
①気持ちが焦る
物事を早く実現したいという思いで、気持ちが焦るさま
学校や会社、大切な人との待ち合わせなど、様々な理由があるでしょう。
この場合は「目的に早く着きたい」という思いで、より早く着くために行動を移し、気持ちが焦る様子を表しています。
②気持ちが満たされない
物事の実現にあと一歩届かないことに、気持ちが満たされないさま
病気や怪我、不慮の事故など、自分の力ではどうにもならない時はあります。
この場合、怪我の状態次第。つまり、惜しいところまで行きながらもあと一歩で届かない、気持ちが満たされないさまを表しています。
③精神的苦悩
思い通りにならないことであっても、どうにかしたいと精神的に苦しむさま
「〇〇したいけどできない」など、思うようにならず苦悩する時に使います。
この場合、助けたいけど助けられない。自分の思いに反して思うようにならず、そのことを受け入れるのに苦しむさまを表します。
「もどかしい」語源は「擬く(もどく)」から派生!
「もどく」の意味は2つ。
意味は2つですが、「もどかしい」は、②非難する・気にくわないが語源とされています。
それぞれみていきましょう!
①真似る・似せる
例えば「雁もどき」という食べ物があります。
細かく刻んだ野菜を豆腐と混ぜて油で揚げたもので、おでんによく用いられます。
それは雁(カモ目カモ科の鳥)の肉の味に似ているところから名付けられたとされています。
この場合の「擬く」は、一見よく似ているけど実際には別のもの、本物に真似て似せるという意味ですね。
②非難する・気にくわない
「擬く」はもともと、真似る・似せるという意味。
それが転じて「人の真似をしてあれこれ言う」➡︎「非難する・気にくわない」という意味になりました。
「もどかしい」も、はじめはそのような意味で用いられていたそうです。
それがさらに転じて、思うようにならないで心が苛立っていることを意味するようになりました。
「もどかしい」の類義語の意味はかなり似ている
「もどかしい」の類義語も、イライラする、物事が思うようにすすまないことにじっとしていられないなど、とても似たような意味です。
類義語 | 意味 |
---|---|
①じれったい | 物事が思うようにならず気持ちが落ち着かないさま |
②はがゆい | 思うようにならず耐えられないさま |
③気が急く | 物事を早く実行したいという思いで心が落ち着かない・気持ちが焦るさま |
④苛だたしい | 思うようにならなくて焦る・イライラするさま |
これらの類義語の意味はとても似ていますが、ニュアンスが違いますので、単純に「もどかしい」との言い換えはできません。
下記に例文をご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
「もどかしい」の対義語はスッキリ!サッパリ!
「もどかしい」の対義語は、もやもやは一切ありません!
対義語 | 意味 |
---|---|
①清々しい | ・スッキリとして気持ちがよいさま ・キッパリと思い切りがよいさま |
②爽快 | ・サッパリとして気持ちがよいさま ・気分が晴れ晴れとして快いさま |
レモンやグレープフルーツのようにサッパリ爽やかな印象は、気持ちがよいですね。
対義語も下記に例文をご紹介します。
「もどかしい」ときはモヤモヤしてるもの
仕事、恋愛、日常的に「もどかしい」と感じる要因はさまざまです。
スカッとしないグレーのような状況に落ち込むこともあるかもしれません。
ですがそんな時こそ、広い視野で前向きに行動してみましょう!
いつの間にかネガティブからポジティブな感情に切り替わっていますよ。
最後に「もどかしい」の意味をまとめます。
「もどかしい」3つの意味 |
---|
① 物事を早く実現したいという思いで、気持ちが焦るさま |
② 物事の実現にあと一歩届かないことに、気持ちが満たされないさま |
③ 思い通りにならないことであっても、どうにかしたいと精神的に苦しむさま |
博士!
友達が彼に「袖にされた」と言っていたのですが、どういう意味ですか?
それはじゃ、「冷たくあしらわれた」ということなのじゃ。
「袖にする」意味 |
---|
親しくしていた人を冷たくあしらう、おろそかにする |
日常会話、ビジネスシーン、恋愛など様々なシーンで使われている「袖にする」。
特に、恋愛などの男女間で使われるケースが多いのが特徴です。
その語源はなんと6説もあり、いずれも「袖はたいして大事な部分ではない」から派生しています。
本文では、「袖にする」の意味や語源、使い方例文などを解説しています。
「袖にする」をしっかりマスターし、大切な人から袖にされないように気をつけましょう!
「袖にする」の意味とは冷たくあしらう!
「袖にする」とは、親しくしていた人を冷たくあしらう・おろそかにすること。
物事をおろそかに扱ったり、人を冷淡にあしらい邪魔者扱いすることを意味しています。
この表現は江戸時代に用例が多く見られ、語源も複数説あります。
「袖」にヒントがありそうですね!それでは語源を一つずつみていきましょう。
「袖にする」の語源|袖はたいして大事な部分ではない
「袖にする」の語源は複数ありますが、いずれも「袖」は着物の袖のこと。
諸説ありますが、「袖はたいして大事な部分ではない」ということが共通のようですよ。
気になる語源は6説。それぞれ解説していきます。
①袖に手を入れたままの冷淡な態度
着物の袖に手を入れたまま話を聞いたりなど、相手に対し何もしない冷たい態度を表現しているそうです。
手を仕舞い込み何もしない姿は、現代でも冷たい態度に見えますね。
②袖は見頃に対し附属品
袖は見頃の左右にあり中心から離れたところにあります。いわば見頃に対して付属品。
付属品だから、「大したものではない」という表現が生まれたとされています。
見頃とは、体の前後をおおう部分のこと
③袖を振って追い払う仕草
しつこい人を袖を振って追い払う仕草から生まれたとされています。
しつこく言いよる男性を手を振って追い払う、拒絶するイメージが分かりやすいでしょう。
④袖は邪魔になる
和服で仕事や活動をするのに、袂のある袖は「邪魔になる=邪魔者扱いする」という意味が生まれたとされています。
袂とは、袖口の下の袋状の部分のこと
⑤袖は端の部分
この場合の袖とは舞台の両脇のこと。
そこは観客からは見えない、つまり重要なところではないという意味から「袖にする」という表現が生まれたとされています。
⑥関係を断つ
「袖を分かつ」と言いますよね。
これには、行動を共にしていた人と別れる、親密だった人との関係を断つことなどの意味があり、そこから生まれたとされています。
その昔、袂の部分には人の魂が宿ると言われており、袖を好きな人に向かって振ると、相手の魂を呼び寄せ一緒になれると考えられていました。
袖を振った相手と結婚すれば、親元を離れ生活しなければならないこたから「袂を分かつ」という言葉が生まれたとされています。
「袖にする」男女間の例文で分かりやすく解説
男女間で使われる場合が多い「袖にする」ですが、ビジネスシーンなどでも使うことができます。
ビジネスシーンの場合、「あしらう」というよりは「商談を断る」ときなどに使われることもあります。
下記に例文を紹介していますので、参考にしてくださいね。
「袖にする」類義語も冷たい印象
「袖にする」の類義語も冷たいニュアンスの言葉が多いです。類義語ですから当たり前ですね!
それでは、類義語の意味と例文をみていきましょう。
類義語 | 意味 |
---|---|
①素っ気ない | 相手に対し思いやりや温かさが感じられない、愛想のない言動をするさま |
②無関心 | あることに対し気にかけない・興味を示さないこと |
③お払い箱にする | 不要になったものを処分すること |
それぞれの例文はこちらです。
「袖にする」対義語もやはり衣服に関係
「袖にする」は衣服の「袖」でしたが、対義語も衣服に関する言葉が多いです。
それでは、対義語の意味と例文をみていきましょう。
対義語 | 意味 |
---|---|
①袖を引く | 他人に気づかれないようにそっと誘う・注意すること |
②言いよる | 親しくなろうと異性に近づくこと |
③親しむ | 身近な存在として感じること 、打ち解けて仲良くすること |
それぞれの例文はこちらです。
「袖」は男女間の感情表現で使っていた
「袖にする」は男女間、特に恋愛において使いやすい表現です。
また、「彼に袖にされた」「夫に袖にされた」etc…受け身で使う場合が多いのも「袖にする」の慣用句の特徴です。
ビジネスシーンにおいても活用できますので、覚えておいて損のない慣用句でしょう!
できれば袖にされずに仲良く過ごしていきたいものですね(笑)
それでは最後に「袖にする」の意味をまとめます。
「袖にする」意味 |
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親しくしていた人を冷たくあしらう、おろそかにする |
博士!
「棒に振る」ってネガティブなイメージしかないのですが、あっていますか?
ことわざ | 棒に振る |
---|---|
意味 | それまで積み上げてきた努力や苦心を無にすること、ふいにすること |
語源 | 江戸時代に盛んにおこなわれていた商売「棒手振り(ぼてふり)」 |
本文では、「棒に振る」の語源「棒手振り」についての2つの説について、また、類義語や例文も解説しています。
「棒に振る」の意味はとにかくネガティブ
「棒に振る」の意味はとってもネガティブ。
【意味】
それまで積み上げてきた努力や苦心を無にすること、ふいにすること
たった1回の寝坊で、チャンスを棒にふり人生の歯車が大きく変わってしまう人もいるでしょう。
世界の偉人、ヘレン・ケラーの「人生はどちらかです。勇気をもって挑むか、棒にふるか。」という名言も有名ですね。
この「棒に振る」ということわざ、語源は「棒手振り」という江戸時代に盛んにおこなわれていた商売です。
それでは、詳しく語源をみていきましょう!
「棒に振る」の語源は「棒手振り(ぼてふり)」
「棒に振る」の語源「棒手振り(ぼてふり)」とは、店を構えることができなかった商人が、魚や青物を天秤棒に担いで売り歩く人のこと。
天秤棒に下げた籠や桶などが、歩みに連れて振り動かされて運ばれていた様子から「振売(ふりうり)」とも呼ばれていました。
一体どういう職業なのか、わかりやすく現代の職業に例えてみましょう!
現代の移動スーパーに似ている
「棒手振り」は、身一つで始められる行商であり、庶民が手軽に始められる商売でした。
現代でいう、「移動スーパー」や「移動コンビニ」のようなイメージです。
「棒手振り」の主な販売場所は、庶民の住む長屋や下級武士の住まいなどで、食料品や日用品などの生活必需品を扱っていました。
また、保存のきかない生鮮食料品も市場から直で運んでくるため、毎日必要なものだけ買っていたそうです。
本格的な台所がない江戸時代の庶民には、とっても助かるシステム!まさに現代の移動スーパーですよね。
それでは、「棒手振り」とはどんな行商かイメージできたところで、2つの説をそれぞれ解説していきます。
語源は2説!
冒頭でもお伝えしたように、「棒手振り」の語源には2説あります。
一つづつみていきましょう。
①商人冥利につきるが全てなくなる
「棒手振り」は江戸時代からある表現で、前述したように「棒手振り」は、青物や魚を天秤棒でか次売り歩く行商人のこと。
品物を天秤棒で担いで売り歩く、つまり、棒手振りで品物を全て売り払う。
「全て売り尽くすこと=財産をなくす」という意味となり、それが転じて「全てなくなる」というようになったそうです。
②一生店を構えることができない
「棒手振り」は、どんなに良い商品でも、安く買い叩かれてしまい、全て売り払ってもあまり利益が上がらず、店を構えることができません。
つまり、一生「棒手振り」をやり続けなければならない。そこから、「努力や苦心を無駄にする」というようになったといわれています。
まさに「人生を棒に振る」ですね(汗)
「棒に振る」の類義語も悲しいイメージ
「棒に振る」はネガティブことわざ。やはり類義語も悲しいイメージがわくものです。
類義語 | 意味 |
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水の泡 | 今まで積み重ねてきた苦労や努力が、 全て無駄になること |
意味もほぼ同じですので、「棒に振る」を「水の泡」に置き換えるだけで応用できますよ。
では、「棒に振る」を「水の泡」に言い換えた例文をご紹介していきます。
【棒に振る】
国家試験に一発合格するため、この1年間寝る間も惜しんで勉強してきたが、試験当日に高熱が出てしまい、1年間の努力を棒に振った
【水の泡】
国家試験に一発合格するため、この1年間寝る間も惜しんで勉強してきたが、試験当日に高熱が出てしまい、1年間の努力が水の泡になった。
【棒に振る】
大事な商談で取引先を怒らせ会社に大損害を与えてしまったため、入社以来築いてきたキャリアを棒に振った
【水の泡】
大事な商談で取引先を怒らせ会社に大損害を与えてしまったため、入社以来築いてきたキャリアが水の泡となった
「棒に振る」機会を避ける人生を送ろう!
「棒に振る」機会は、ウッカリから始まることもあります。
寝坊・ケアレスミス・忘れ物・秘密を喋るetc… 実は日常にコロコロ転がっているのが「棒に振る」機会。
これらは、普段から気をつけていれば回避できることがほとんどです。
些細なことで「棒に振る」ことのないよう、意識的に注意してみてくださいね!
それでは、最後に「棒に振る」の意味と語源をまとめます。
ことわざ | 棒に振る |
---|---|
意味 | それまで積み上げてきた努力や苦心を無にすること、ふいにすること |
語源 | 江戸時代に盛んにおこなわれていた商売「棒手振り(ぼてふり)」 |
博士!
相撲の掛け声「はっけよい、のこった」ってどんな意味があるんですか?
「気分を高め全力で勝負しよう!」と両者に気合をいれる言葉
力士が両者とも土俵に残っている
まだ勝負は決まっていないこと
「はっけよい」の意味は両者に気合をいれる!
「はっけよい」の意味は、気分を高めて勝負せよ!と両力士に気合を入れること。
力士はお互いの目と呼吸だけでぶつかるタイミングを決めており、この立合いが勝敗を決めることもあります。
「はっけよい」は、取り組みの中で両者の動きが止まった時、試合を促すためにかける言葉ですね。
「のこった」の意味は勝負はまだついていない
「はっけよい」と同じ位 行司がかける言葉として有名なのが「のこった」。
「のこった」は「残った」で、両力士とも土俵に残っている、勝負はまだついていないと知らせています。
取組み中に両者とも動き回っている時や、一方の力士が技を仕掛けるも勝負が決まらなかった時などに使います。
「はっけよい」の語源は3つ
「はっけよい」の語源は3つあるとされていますので、それぞれ解説していきます。
①力士に発破をかける【発気揚揚(はっきようよう)】
「はっけよい」は「発気揚揚(はっきようよう)」という言葉がつまったもの。
「気持ちを高めて全力で勝負しよう」という意味があります。
つまり、力士が組み合って動かなくなった時、「気分を高めて全力勝負せよ」と発破をかけるということですね。
②易占いの八卦が変化【八卦良い(はっけよい)」】
「はっけよい」の「はっけ」は、古代中国から伝わる易占いの「八卦」のこと。
占い結果が「八卦良い=良い八卦になった」ということから、相撲の「はっけよい」に変化したとされています。
力士同士がぶつかり合って動かなくなった時に使うことを考えると、由来としては少し弱いのかも知れませんね。
③古語で用いた【早競へ(はやきほへ)】
「はっけよい」とは「早く競え」を意味する「早競へ(はやきほへ)」が転じて「はっきょい」となり、さらに「はっけよい」と転じたとされています。
「はっけよい」とは、取り組みの中で両者の動きが止まった時、試合を促すためにかける言葉なので、この説が一番しっくりきますね。
実は、「はっけよい」はヘブライ語※からきている「撃て、やっつけろ」説があるのです。
ですが、由来や語源と断言できるほどの確証はありませんので、共通点という言葉が一番ベストかと思います。
※ヘブライ語とは古代よりユダヤ人によって使われてきたイスラエルの言語
ヘブライ語での「はっけよい」は「はっけ」と「よい」別々の意味があります。
- 「はっけ」は、撃て・投げつけよ
- 「よい」は、やっつけろ
格闘にぴったりの言葉ですね!
「はっけよい」は試合開始の合図ではない!
「はっけよい」と聞くと試合の合図だと勘違いしがちです。
先程もお伝えした通り「はっけよい」は、取組中に力士の動きが止まった時に行司がかける言葉。
大相撲では試合開始の合図ではないのです。
ですがアマチュア相撲では、両者が両手をついた状態から、主審の「はっけよい」のかけ声とほぼ同じタイミングで両者が立って競技開始となります。
子供の相撲ごっこなどでは、「はっけよーい」で準備し「のこった!」で開始するケースが多いですよね。
この間違いスタートが子供の頃から浸透しているため、試合開始の合図だと思われがちなのかもしれませんね。
「はっけよい」と「のこった」の使い分けは簡単!
「はっけよい」と「のこった」の使い方は…
つまり…
このように簡単な使い方で覚えておくと分かりやすいでしょう!
それでは最後に「はっけよい」「のこった」の意味をまとめます。
【はっけよい】
「気分を高めて勝負せよ!」と両力士に気合を入れること
【のこった】
両力士とも土俵に残っている、勝負はまだついていないと知らせていること
博士!
「ねこばば」ってお金のイメージがあるんですが、正しい意味を教えてください!
確かによく聞くのはお金じゃな。
じゃが、「ねこばば」の意味はお金とは関係ないのじゃ。
- 悪いことをして素知らぬ顔をすること
- 拾ったものをこっそり自分のこのにしてしまうこと
「ねこばば」の意味は悪事を隠して知らん顔!
「ねこばば」の意味は、悪いことを隠して素知らぬ顔をすること。また、拾った物をこっそり自分のものにしてしまうこと。
それでは、分かりやすい例で解説していきますね。
正しい意味や語源を知っておくとイメージがわきやすく、さまざまな場面でも応用できますよ!
それでは、次に語源をみていきましょう。
「ねこばば」の語源は2つ!「猫のフン」と「猫のババ」
「ねこばば」の語源には2つ解釈があるといわれています。
- 猫の糞
- 猫の婆
それぞれ、解説していきます。
①猫の習性から出た言葉「猫糞(ねこばば)」
猫は、フンをした時、砂をかけて隠す習性があります。この猫の習性から出た言葉、それが猫の糞と書いて「ねこばば」。
「糞」を「ばば」と呼ぶのは、江戸時代の幼児語が由来とされています。
現代の言葉でイメージするならば、便をウンチと呼ぶ感じに似ていますね。
ちなみに、犬にも同じ習性がありますが「いぬばば」とは言いません。
なぜ犬ではなく猫なのかは、未だに誰も知らない謎のようです。
②猫好きな老婆のあだ名「猫婆(ねこばば)」
江戸時代の中頃、江戸の本所に猫好きの老婆がいました。この老婆、孫が医者ということで、とっても裕福。
そのため30匹もの猫を飼っていたため「猫婆」と呼ばれていました。
しかしこの老婆、人から借りたものを返さないという悪いくせがあり、「ねこばば」というあだ名がつけられていました。
そこから転じて、他人のものを自分のものにすることを「ねこばば」と呼ぶようになったとされています。
「ねこばば」の使い方は意味とリンクする2パターン!
「ねこばば」の使い方は、実に簡単!2つの意味に沿って使い方をご紹介していきます。
- 悪いことをして素知らぬ顔をすること
- 拾った物をこっそりと自分のものにしてしまうこと
①悪いことを隠して素知らぬ顔をする
まずは、よく聞く金銭関係の例文です。
②拾ったものをこっそり自分のものにしてしまう
こちらも日常会話で意外と聞いたことのある使い方です。
「ばっちい」も「ねこばば」から派生
「ねこばば」の「ばば」はウンチや汚いものを意味する言葉で、江戸時代に子供が使っていた言葉です。
そして、この汚いものを意味することが派生して、幼児語で「ばっちい」や「ばばっちい」という言葉ができたとされています。
「ばっちい」は、現代においても幼い子供に使う言葉。江戸時代から現代まで続いているなんて大活躍な言葉ですね!
「ねこばば」の類義語もイメージダウン⤵︎
「ねこばば」は良くないことです。その類義語もやはり、あまり良いイメージの言葉はありませんでした。
など、どの類義語も犯罪です(汗)
そして、使い方はいたってシンプル。「ねこばば」を「類義語」に変換するだけです。
このように、たとえ軽い気持ちで「ねこばば」したとしても警察のお世話になることもあるかもしれませんので、お気をつけくださいね。
「ねこばば」の語源は猫にとってはいい迷惑!?
猫は、生まれて1ヶ月もしないうちからひとりででトイレに行き、排泄をし、臭わないようきちんと砂で隠すことができる賢い動物です。
これは母猫や人間から教わらなくても猫の習性として備わっているもの。
トイレの失敗もほとんどなく、とっても清潔な動物なのです。
そんな猫のフンを引き合いに出したり、老婆の悪癖のせいで悪いイメージを負わされたりと、猫にとってはいい迷惑ですよね。
とっても賢い猫が「ねこばば」の語源でした。それでは最後に意味と語源をまとめます。
【意味】
・悪いことを隠して素知らぬ顔をすること
・転じて、拾った物をこっそり自分のものにしてしまうこと
【語源】
・猫の習性から出た言葉「猫糞(ねこばば)」
・猫好きな老婆のあだ名「猫婆(ねこばば)」