油断の意味は気を許すこと!語源は3説で油にまつわることが多い

無知子ちゃん
博士!「油断大敵」の「油断」とはどういう意味ですか?
トリビア博士
それは、気を許して注意を怠ることじゃ。
油断、意味、気を許して注意を怠ること、隙を見せること
「油断大敵」とは「油断」を使ったことわざで、気をぬくと思わぬ失敗につながるから気をつけるべきだという意味ですね。
本文では、「油断」の意味や語源を詳しく解説しています。

油断はミスを呼び込みます。たった一度の油断で人生を棒に振らないよう、この機会に「油断」を排除しましょう!

 

「油断」の意味は気を許すこと

油断、意味、気を許して注意を怠ること

「油断」の意味は、気を許して注意を怠ること・隙をみせること。

注意喚起の意味で使う場合がほとんどです。

ではなぜ、「気を許すこと」という意味の言葉が「油を断つ」という漢字を使うのでしょうか。

それは、語源に関係があるのです。

それでは次の章で紐解いていきましょう!

 

「油断」の語源は3説!油にまつわるものが多い

油断の語源は3説あるとされています。

  1. 仏教の経典「涅槃経(ねはんぎょう)」
  2. 比叡山延暦寺の「不滅の法灯(ほうとう)」
  3. 古語「ゆた・に」が転じた

それぞれ解説していきます。

 

① 仏教の経典「涅槃経(ねはんぎょう)」

涅槃経とは、簡単にいうとブッダの遺言集。

死に直面したブッダが、自らの得た数々の教えを記述した経典として信仰されています。

そして、この涅槃経の中に「油断」の語源となるエピソードが語られているのです。

それは、「油をこぼすと命を断つ」というお話。それでは、このエピソードになったお話を紹介していきます。

 

ある王様の無謀な命令が「油断」の始まり

その昔インドの乱暴な王様が、臣下に油を一杯に注いだ鉢を持たせ、人通りのの多い道を歩かせました。

「もし鉢を傾けて一滴でも油をこぼしたら、お前の命を断つぞ」と命令をし、その後ろに刀を抜いた家臣を立たせて監視をさせます。

そして臣下は、周囲に目もくれず、王の命令を全うしたというお話です。

油は少しでも「傾ける」とこぼれてしまいますよね。

だからこそ、「油をこぼしたら命を断たれてしまう」というくらいの真剣さで修行しなさいという教えなのです。

日常生活でも、怠けたり、おこたったりせず油断しないように過ごしなさいということですね。

また、このお話には「怠るな」と同時に「中道」という教えも含まれていますので、次の章で解説します。

 

「傾ける」にも意味がある

「鉢を傾けたら油がこぼれる」の「傾ける」に意味があるのです。

油をこぼさないためには、どちらか一方に極端に傾けるのではなく、真ん中の状態を保つことが大切ですよね。

この真ん中の状態を保つことを「中道」と言い、ブッダは「油断」のお話で「中道」を生きなさいということを伝えたかったのです。

王族生まれのブッダは29歳の時に出家し、6年間厳しい修行に取り組みましたが、何の教えにもたどり着けず苦行を終了。

そして、王宮と苦行の両極端な生活を振り返り、「楽」でも「苦」でもない「中道」という考えに行き着きました。

つまり、極端な生き方に固執して、行動や思考が傾かないよう人間としてのバランスを欠いてはいけないということですね。

 

② 比叡山延暦寺の「不滅の法灯(ほうとう)」

不滅の法灯とは、比叡山延暦寺の根本中堂の中に1200年間一度も消えることなく灯され続けている明かりのこと。

約1200年前、比叡山延暦寺を創健された天台宗の開祖・最澄が、比叡山の山中に根本中堂を建立し、自らが薬師如来ご本尊をお彫りになりました。

そして、明るい豊かな人生と世界平和を願いご本尊の前に点灯され、以来1200年の間、一度も消えることなく灯され続けています。

では、なぜ不滅の法灯が「油断」の語源となるのでしょうか。詳しく解説していきます。

 

灯火を絶やしてはいけない緊張感

不滅の法灯の灯火を絶やさないためには、毎日「油」を注ぎ足さなければなりません。

油を注ぎ足すことに「慣れ」てしまうと、その作業は日常生活に溶け込んでしまい、気の緩みが生じます。

この気の緩みが「油断」。

毎日欠かさず注ぎ足さなくてはいけないという緊張感を忘れずに、気を引き締めて行うことを意味しているのでしょう。

また、油を注ぎ足す当番は決まっていません。それは、お堂番を決めることで他人事になってしまうからです。

だからこそルールは作らず、灯りの存在を気にかけ、気づいた人がその都度油を注ぐことで守り続けているのです。

油が切れたら灯火は消えてしまいます。決して油を絶やさないことから「油断」という言葉が生まれたということですね。

 

③ 古語「ゆた・に」が転じた

油断、語源、ゆたに

最後は、「ゆったり」「のんびり」 という意味の古語「寛(ゆた)に」が音変化したとする説。

万葉集では、「ゆたにゆたに(悠々と漂い動くさま)」という表現で使われており、この状況が「注意を怠る」と言う意味に変化したとされています。

また、「ゆた=のんびり」と言う言葉は、今も四国の土佐地方の方言に残っています。

お客様に、「ごゆっくりしてください」の意味で「ごゆだんなさりませ」などと言うそうですよ。

 

「油断」のことわざと言えば「油断大敵」!

「油断」でよく使うことわざと言えば「油断」+「大敵」の「油断大敵」ですよね!

意味は次の通りです。

油断大敵油断大敵
注意を怠ること強く手強い敵注意を怠ると思わぬ失敗をまねく

つまり、「油断は失敗の原因につながるので、手強い敵だと思って警戒せよ!」と言う戒めの言葉という意味です。

では、どのような使い方があるのか例文を簡単にご紹介します。

 

「油断大敵」の使い方例文

「注意力散漫」や「気の緩み」など、日常的に慣れていることや物事が順調に進んでいる時に、油断してしまうと失敗につながりやすいですね。

このような状況になった時は、戒めの言葉として「油断大敵」を使いましょう!

 

  • この試験には絶対的な自信があるようだけど、油断大敵だよ
  • 夏が終わっても油断大敵!熱中症には気をつけよう
  • ヘアアイロンで火傷をしてしまった。いつも使っているからといって油断大敵だ

 

「油断」の類義語は言い換えできない

「油断」の類義語と意味を次の通りです。

類義語意味
不注意注意が足りないこと
うわの空他の事に心が奪われて、そのことに注意が向かないこと
手抜かり不注意のため、しなければならないことを十分にしないこと

これらは類義語でありますが、使い方が異なりますので「油断」の言い換えはできません。注意しましょう。

 

一瞬の「油断」が命取り!だからこそ油断大敵!

「油断」はいつどこで起こるか分かりません。

続けるべき注意や集中が途切れたり、一瞬の隙を見せることで人生が大きく変わってしまうこともあります。

日常の些細な日課も油断大敵!この機会に肝に命じましょう!

最後に「油断」の意味をまとめます。

「油断」意味
気を許して注意を怠ること
隙をみせること